世間は勘違いしているが、自殺というのは「死ぬほどつらい」から死ぬんではない。
そういうケースは稀である。
なぜなら、つらくても生存するように人間はできており、なぜならそれが生命の基本原理で、理性ごときで逆らえない。
ではなぜ、人は自殺するのか。
早い話、「正常な判断ができない」状態にあるからだ。
つまり、「死ぬほどつらい」からではない。
ノイローゼや、鬱は自殺を誘引する。
今言ったように、正常判断ができないので、フラっと死ぬのだ。特に現代では電車や車、ビルから飛び降りれば簡単に死ねる。準備は要らない。
ふとホームから飛び降りたくなって、飛び降りればいいのだ。
普通の人間は人生がつらくてもしない。正常な判断ができていれば。
ノイローゼや鬱の場合、その正常な判断ができず。自殺する。
自殺の理由の一つに家計・健康の不安があるが、これがすぐに自殺に直結しない。その程度では死なない。
問題は、家計・健康の不安から不眠になったりすると、ノイローゼや鬱になってしまう。このせいなのだ。
小さなことでも、それが続くとノイローゼや鬱になる。
「たかがその程度で自殺するのか」という問いがそもそも間違っている。
なぜなら、自殺した当人が患っていた悩みは直接の原因ではないので、そこを究明しても意味がない。
問題は、その悩みのせいで鬱、ノイローゼがおこったことだ。
こういうと、馬鹿な人は心が弱いから鬱・ノイローゼになるというが、無関係である。
不眠というか、24時間寝ないでいると3日ほどで人間の右脳はばぐり、幻覚を見るようになってしまう。
そう、その程度で脳はおかしくなる。
だから、仕事が忙しくて3時間しか眠らないみたいな状態が一週間も続くと、心の良しあしとは無関係に、脳はおかしくなる。
鬱もノイローゼも脳がおかしくなっている状態の名称であって、心の話ではない。
ゆえに、単なる過労は不眠を起こし、不眠は脳をおかしくし、結果、判断がおかしくなり、「今日は雨だったから」程度の理由で自殺したりする。正常な判断ができなかったせいだ。
さらに小さな悩みでも何年も続くと脳をおかしくする。
これはガンの発生原理とも似ている。
ガンを人工的に発生させる簡単な方法は、皮膚の同じ個所を何時間も突き続けるという行為を何か月も続けることだ。
これはマウスで証明されていて、ただ突くだけでもずっと同じ個所をやり続けると皮膚がんが発生することがわかっている。
脳も同じ。同じ悩みを延々繰り返すと、やはりおかしくなり、鬱やノイローゼを生み出す。
だから原理的に自殺することを止めることは難しい。
ただ、継続して人を攻撃したり、非難したりしないということだ。
いじめもそうだ。
年に一回かばんを隠されたというのはいじめとは呼ばれないだろうが、これが毎日のばあい、いじめと呼ばれ、精神を病み、自殺する。
年に一回かばんを隠されたからといって自殺するやつはいない。
自殺の問題は、事の発端となった出来事の大きさ、影響力ではなく、その出来事が継続したかどうか、だ。
家族がいなくなって自殺したというのもあるが、家族が災害死した場合、永久に帰ってこないので、悲しみは永久に続く。病まざるを得ないわけだ。
基本的に、いじめ自殺問題をだれもが真剣に考えないのは、心の問題だと思っているからだ。
違い。脳の問題だ。
ささいなことでも毎日されれば病む。正常な判断を失い、自死する。
また、加害者サイドも、他人をいじめて気持ちがよくなるというのは異常である。そしてなぜこんな異常になるかといえば、脳に異常があるからだ。
通常、人間は他者を継続的にいじめることはできない。
社会が成立しなくなるからだ。
もちろん、私的制裁みたいなものはありうる。こっちは社会の運営に必要だからだ。
ここで、一過性の制裁と、継続的ないじめの違いがある。いじめは制裁にならないのだ。なぜなら、毎日やればそれは日常であり、罰にならない。
ゆえに、いじめられた側に問題があったから、いじめた、という発言には1ミリも正義がない。
むかついたから殴ったというのにはあっても、だ。カっとなって殴るくらいは誰でもする。しかし、継続的に攻撃し続ける人間は、異常者である。
で、その異常性も結局は脳にある。
彼らは本来ならば、他者を攻撃することで感じる罪悪感を感じず、むしろ快楽を感じる脳の構造をしている。いわば、脳疾患といえる。
ロボトミーは間違っていたが、こういった脳疾患の患者は治療すべきだろう。心のケアではない。投薬治療が必要だ。