ソ連はそのイメージとは裏腹に、女性の社会進出は同時期のアメリカよりも進んでいたし、チェルノブイリ関連も綿密な調査や基準値を決めている(福島とは大違いだ)し、少数民族にも広く門戸を開いていたし、労働関連の国際条約の多くがソ連発だ。
そもそもスターリンはグルジア人である。
むしろこのあたりは、ロシア連邦になって退化した。
現在ウクライナに送られている兵士の多くは非ロシア系民族が多いし、女性の地位は低下した。ソ連時代には女の将軍や将校がいたが、現在のロシア軍にはあまりいないようだ。
そもそもソ連は社会主義国だったので、男女の機会は平等であり、労働者の人権は守られねばならなず、最終的には世界革命がおこることになっていたので、人種差別や民族差別があってはいけなかった。
ソ連は初めて社会主義革命がなされた国という自負から、わりかし理念に忠実な国だったので、このあたりは守られた。
更に、ソ連=人権蹂躙のイメージがあるのはなぜか。
もちろん半分はアメリカのプロパガンダだが、もう半分は人権や人倫が最高位ではなかったことにある。
つまるところ、世界が革命されるまでは革命が最上位にあったので、革命の為なら人権は制限されたのだ。世界革命以後に事件は保障され得るのだった。
日本やアメリカでは金のために人権は制限されるが、思想のために制限されることはない(大東亜共栄圏も思想ではなく、経済の話だ)ので、ここが人権蹂躙に見えたのだ。
金にもならないのになんで人権無視をするのか? と。異常な国に見えたのだ。
俺らの金のために泣き寝入りして自殺する弱いやつがいるのは何もおかしくはない(自由資本主義)が、金にもならない共産主義革命のために人間を粛正するのは変だ、と。
逆にソ連は、この資本による人権蹂躙(特に第三国に対するもの)を批判したので、南米やアフリカ、東欧といった経済的に蹂躙されている側からの支持を得た。
私はソ連は何も間違っていなかったように思う。
レーニンもスターリンも独裁者だったが、私腹を肥やしたわけではないし、息子を跡継ぎにしたわけでもない。
日本やアメリカのように一部のイスタブリッシュメント階級が建前上は選挙だが、事実上世襲的に支配する、ということもなかった。アメリカでもビルゲイツやベゾス、ザッカーバーグ、イーロンマスクは政治家になることはできない。しないのではなく、できないのだ。
日本のガーシーのように人気で当選することはありうるが、何ら政策に関与することはできないだろう。
それに、金のために他人の人権を蹂躙する方がおかしくないか??
しかし、根本的な部分でソ連は間違いを犯したのだ。
結局のところ、人間はみな、弱い奴を嬲り搾取して私腹を肥やすやつになりたかったのだ。
みんなアメリカや西欧のようになりたかったのだ!!
植民地主義や帝国主義が批判されたのは、それが間違っていたからではなく、民主主義的ではなかったからでもなく、単純に金の話なのだ。
植民地に資金を投じるよりも、独立させてものを売りつけ経済的に支配する方がずっと儲かるということに気づいただけだからだ。
だから結局、共産圏は有能な政治家を欠くと崩壊するようになった。
チトーが死ねばユーゴスラビアは崩壊し、毛沢東やホーチミンが死ねば中国やベトナムは修正共産主義ともいえるような事実上の資本主義経済にかじを切った。
ソ連の崩壊も、つまりはスターリンのような有能な政治家が出なかったことだ。ゴルバチョフはそこそこ有能ではあったが、かじ取りを間違った。
彼はおそらく共産党No1になるような人物なので、共産主義思想そのものは信じていたし、正しいと思っていたはずだ。まさか、ロシア人たちがアメリカのポルノと、アメリカの生活をとんでもなく欲しているとは予想だにしなかったのだ。