カダフィーやヒトラーを悪役にしたいのはアメリカの陰謀でしかない。
日本人はアメリカ人の陰謀に染まりすぎている。アメリカ絶対正義論に洗脳されており、アメリカの陰謀に気づくことさえない。
アメリカが何をやってもネトウヨが褒め称えるんだから目も当てられない。こんな右翼いる??? イギリスもフランスも中国も右翼はみんなアメリカ嫌いだよ……。だって、自国から搾取してるんだもの。
そもそもだ、圧政だけで政権は取れないし、長期的に維持するのも困難である。
逆に考えてみて欲しい。ヒトラーやカダフィーが武力で政権を得たなら、武力で追われるはずなのにアメリカが殴るまで結局追われていない。
圧政だから? 違う。支持されていたからだ。
さらに逆に考えてみよう。
悪とされる独裁者たちの敵はほぼすべて「アメリカかイギリス」のどちらかだった、ということを。
コペルニクス的転回ではないが、実は巨悪は英米の方なのでは?
まあ、歴史を鑑みれば、イギリスのやったことに比べればヒトラーのやったことなどおままごとである。
独裁者でイギリスの水準の悪行に及ぶのはポルポトしかいないが、彼が悪行をおこなった期間は短く、規模が小さい(イギリスは300年間、世界で殺戮と搾取を繰り返した)。
彼らが支持されていた根拠は多い。
カダフィーがリビアの独裁者になってから、リビアの教育、インフラ、経済がすべてよくなった。
ヒトラーもそうだ。どん底のドイツを世界第四位の国(一位米、二位ソ連、三位英)に数年でしたてあげた。そして、実績をひっさげ、国民の圧倒的な支持のもと総統に就任する。
フセインもそうだ。フセインは部族争いの絶えなかったイラク「国内」に平和をもたらした。
ホメイニもそうだ。
彼はアメリカの傀儡政権を倒すよう扇動したが、当時のイランはアメリカのシンパ以外の国民が貧しかった。
一部の都市部だけがアメリカにべったりすることで栄えていた。だから殆どの国民はアメリカの傀儡政権を支持しなかった。
ミャンマーの軍事政権だってそうだ。軍事政権なきあとのほうがめちゃくちゃになった。
北朝鮮もそうだ。当時世界最貧国の朝鮮半島北部を立て直した。戦後すぐは日本よりもずっとよかった。だから今では信じられないが、北朝鮮は素晴らしい国だと日本でも思われていた。
実際戦後の日本や軍事独裁でめちゃくちゃの韓国と比べれば、全然よかったのだ!
そう。ソ連は絶対悪なので、共産主義は無意味みたいなネトウヨは多いが、コレも違う。
ソ連の計画経済はうまくいっていたのだ。途中までは!
1960年代終わりまでは、科学、経済、軍事のすべてでアメリカに追従できる国家はソ連しかなかった。世界の工業生産の半分を米ソで占めていた。
だから東欧や新興国は共産主義を支持して、共産化したのだ。
ソ連が「脅した」からではない。
アメリカに対抗できる国家体制として注目されたのだ。日本では諸外国と比べて全然流行らなかったが、フランスでは社会主義は一大勢力だった。
むしろ、戦争で「民主主義」を広めるアメリカこそ悪であろう。
ソ連は戦争で共産主義を拡大したことはない。
これはユーロセントリズムあるあるなのだが、イスラム教はイスラム教徒が侵略しなかった土地(インドネシア)にも広く広まったが、キリスト教は必ずキリスト教徒が侵略した土地である(中国侵略は失敗したため、全く流行っていない)。
しかし、アメリカは「民主化」(この意味はアメリカへの隷属ということ)のために戦争と恫喝(日米貿易摩擦やファーウェイ副社長への人種差別的拘束など)を世界中にまき散らしてきた。
アメリカの言う民主の「民」に、当該国は含まれていない。アメリカ市民のための戦争なのだ。
だから、貧しかった国々はソ連に希望を見いだした。
当時のソ連はアメリカを打倒できそうに見えたのだ。
アメリカ自身も怯えていたので説得力があった。
さらにソ連はロハで武器もくれた。技術供与もされた。
ソ連はさっさと核ミサイルをワシントンとニューヨークに撃っておくべきだった。米帝は滅んでいるべきだった。
この「民主化」(民主主義とは無関係でアメリカに従順かどうかの基準)と「ならずもの国家」(アメリカに逆らう国の意味であって倫理や道議の話ではない)という概念は間違っている。
英米は世界のスタンダードではない。むしろ逆。極めて異質な政体を持つ国家である。
イギリスではクロムウェル以来独裁者がいない。これは極めて珍しい。フランスには戦後もドゴールがいた。
日本も有史以来独裁者がいないが、イギリスと似ていないのは国家そのものはとりたてて強い権力をもっていなかったことだ。
明治維新後イギリスを範として初めて成立する。
一方、イギリスは早い段階から安定的で強い権力の国家だった。
だから数百年政体がほとんど変わらないまま、現代を迎えている。アメリカも独立以来変わっていない。コレは極めて珍しい。
日本は天皇制は続いてはいるものの、政体自体は、江戸幕府、明治政府、戦後政府と三転している。
そしてそのたびに、領土を喪失したりしているが、イギリスは一貫してWWIIになるまで400年近く世界を踏みにじり続けることができた。コレは異常事態だ。
この、中枢がはっきりしない(独裁者の不在)ものの、国家権力が安定的で極めて強権というのは英米以外にはない。アメリカも大統領は強権だが8年しかできないルールは墨守されてきた。
かつてローマ帝国がそうだったが、途中から完全に帝政に移行している。
アングロサクソンの生み出したものは、人類史上極めて特異で異常なモノが多い。
私たち日本人はどっちかといえば、スタンダードにちかい。
アラブ人、ナイジェリア人、古代シュメール人、インカ人、日本人の方が、アングロサクソンよりもずっと価値観、世界観が近いと断言できる。
同じヨーロッパでもフランス人はこっち側だ。イギリス人だけが異様なのだ。まあ、ゲルマン人の価値観世界観も結構乖離してはいるが……。
私たちはダマされてはいけない。
事実は、英米のいうことこそ、間違っている、と。
つまり、むしろ、中国の弁の方がスタンダードだと断言できる。まっとうなことを言っているのは中国の側だ。
台湾だって、アメリカは台湾を国家承認していないため、アメリカは公式に「台湾は中華人民共和国の領土」としているわけで、中国が「国内問題」と言えば、それに反論できないはずなのだ。
中華人民共和国の膨大な市場が欲しかったから二つの中国を認めなかった自らの落ち度だろうに。
したいなら、台湾を国家承認すべきだが、しない。
で、あたりまえだが、日本ではこの手の基礎的つっこみもない。メディアも言わんし、ネトウヨはそもそも知識がなく知らない。台湾を国だと思っている。
中国を叩きたいので、韓国やドイツは英米の価値観に乗っかるが、根源的にはそうではない、と断言できる。
それこそ、英米の価値観は、アメリカの軍事力と経済力に支えられているにすぎない。
カダフィーやフセインの価値観の方が正鵠だが、彼らには金も武器もない。
すべてはそういうことだ。
かつて日本人はアメリカに憧れたが、今あんまりない。
アメリカの価値観や思想に殆ど人間は興味がない。ただ、アメリカを信奉しているだけだ。なぜ信奉するのか。強くて金をもってるからだ。
日本の女を見ろ。強くて金のあるやつが世界一好きだ。愛なんてのは信じていない。
もし韓国が日本人の数倍の金をもっており、数倍の軍隊を有するなら、日本人は彼らの足を舐めるだろう。間違いない。
私は英米の人類史的に異常で異様な価値観が蔓延し、巨大な経済力と軍事力に裏打ちされてまかり通り続けるのは、人類の不幸だと思っている。
正確には滅ぶべきは米帝というよりは、英米的観念であろう。これは百害あって一利なし。
たとえば、立憲君主や議院内閣制は本当に民主的で、正しく、普遍的なのか?
私は間違っていると思う。
議院内閣制がイギリスでしか誕生しなかった事実こそおかしい。
王政は世界中どこでも同時多発的に発生した。
民主主義は小集団でしか成立せず、いつか王政になる。これは進化論的なものでその先に議院内閣制があるのか? 違うと思う。
本当にそうならば、英米が世界中を侵略しながら布教する必要はなかったはずだ。勝手に誕生したはずだろう? それがフランスですら誕生しなかったのはなぜだ??
ローマ帝国は地理的には世界を侵略したが、精神的には出来なかった。
しなかったのかもしれない。これはササン朝もそうだし、漢もそうだ。しかし、アメリカはいま精神的に世界を侵略している。これは人類史上なかったことだ。
これまで精神の侵略が成功した例はない。
虐殺に次ぐ虐殺のあったアンデス(人類史上最大のジェノサイドはスペインの侵略だろう。規模、期間、苛烈さでこれに次ぐものはない)ですら、先住民のミイラ信仰を撲滅できなかった。