プーチンは独裁者だからこそ限度を超えた抑圧ができない

 おそらくだが、ロシア政府はあまり強い弾圧はできない。なにせ前例があるからね。ロシア帝国は奴隷のように国民を使いすぎ、市民革命によって滅ぼされたという前例がね!! 対岸の火事じゃなくて、まさにその地でね!! たぶん、アメリカ人や日本人より遥かにデモというものの恐ろしさを知っているだろう。そうやってソ連も崩壊したんだ。30年くらいという極々最近ね。キレた市民の恐ろしさを知っているのはそれこそロシア上層部だろう。年齢的にもソ連崩壊当時に30~40前後だ。よく憶えているはずだし、その祖父母がロシア革命のときに青年期を過ごしているから、祖父母の体験談もよくきいていることだろう。
 日本は一度も市民の革命で国家が覆ったことがないから、市民はデモなんて無意味と思ってほとんどやらないし、実際戦後やってみたけど、意味なかったから、いまではデモやる奴=馬鹿扱いだ。アメリカでは一定の成果があるのはみんな知っているが、日本同様、国家が転覆するレベルになったことは一回もない。
 同様のことは中国にも言える。中露が国民を抑圧するのは、「市民への恐れ」の裏返しだ。中国だって、清は市民革命で倒れ、金持ち優遇の中華民国は農民によって追い出された。そういう国民がキレたらもはや政府はどうにもならないという経験をこの100年にどちらも2回経験している。

 日本の上層部には危機感がない。いつまでも自分たちは上級国民のままでいられると思っている(実際そうで、戦争で凋落したのは田舎地主のみで、ほかはそのままスライドした)。
 アメリカのエスタブリッシュメントも自分たちは永久にそうだと思っている(実際そうだ。アジア人も黒人も、アメリカの「政治的支配者層」にほとんどコミットできていない)。
 一方、中露のイスタブリッシュメントは巨大な危機感を持っている。いつ自分たちへ国民が牙を剥くか。剥いてしまえば一瞬だ。いつもそうだったではないか!
 革命で価値観は完全に変わってしまう。ロシアは帝政→共産制→自由主義とかわった。中国は、帝政→自由主義→共産制と変わった。変わりすぎだ。日本の場合、明治維新では実態は何も変わっていない。軍事同盟国家が帝政になったわけだから、変わったといえば変わったかもしれないが、巨大な変化とはいいがたいし、いわゆる藩主たち上級武士は政治的権能をほぼ剥奪されたが、華族として残り、多くの下級武士がそのまま行政職員になった。戦後しばらくまで、行政職員は事実上の世襲が見られた。

 中露の支配者たちが国民に苛烈なのはそういうことだ。いまごろプーチンは焦りまくっているはずだ。寝た子を起こすことになってしまうのではないか、と。
 中共のあざといところは、国民を抑圧しつつ、経済発展をなすことで「革命はアホのすること」という方向へもっていこうとしていることだ。しかもこの手法は明らかに「日本に倣ったもの」だ。中共は日本の戦後の衆愚政策をいたく参考にしているように見える。そりゃそうだろう。世界でもこんなに衆愚政策が成功した国はあるまい。もちろん、もっとアホだらけの国はたくさんあるが、世界でも有数、というか世界一だとすら思う教育水準がありながら、この衆愚っぷりは特筆に値する、と思う。