新大陸はスペインによってものの数十年で支配下に置かれた。
これはすごいことだ。
いってしまえば、室町時代の武士が600人くらいで中国に乗り込み、半世紀でその全土を支配下におくようなものだ。いや、どう考えても無理だ。しかし、スペインはそれを達成した。日本は近代になるまで朝鮮半島さえ制圧できなかったのに。
というか、たぶん、スペインではなく、イギリスだろうがフランスだろうがトルコだろうが日本だろうが、新大陸の制圧は容易だったと思われる。なにせ相手は石器文明である、鉄器と銃器と馬の威力は世界史が証明している。
たとえば、世界で最初に鉄器で武装したヒッタイトは（当時の）世界の辺境だったにも関わらず、そのころ世界で最も豊かな国だったエジプトに対し優位な形で和平している。もっとも、エジプト軍は青銅器で武装しており、石器ではないが。
また、馬の威力はスキタイやモンゴルの例を出せばいい。しかしこれにしても、ローマ側や中国側も騎馬部隊がいなかったわけではない。
銃器はいわずもがな、である。
だからイギリスはインドの制圧に2世紀かかったし、アフリカの制圧に3世紀かかったのだ。中国は時間が足りず、列強のどこも制圧しきらず、トルコやイランは結局、完全な制圧に失敗した。
アフリカ人は新大陸の先住民に比べれば、はるかに経済的軍事的学問的に進んでいた。彼らはもちろん鉄器を使っていたし、アラブ人から最新の知識と武器を得ていたし、ヨーロッパ人から手に入れた銃器を使って帝国の建設さえやった。
現在もロシアはウクライナの制圧にてこずっているが、核兵器含むABC兵器が使えないならば、武器は殆ど同等。地の利はウクライナ側にある。だから、ウクライナですら容易にロシアは叩き潰すことができない。
これは文化文明が同水準だからだ。アメリカも最初こそ簡単にイラクを制圧したかに見えたが結局10年以上の歳月を要し、アフガンは何もしなかったのと同じことになった。
アメリカVSアフガンではとんでもなく文明に差があるような気がするが、アステカ人とスペイン人との間の文明差よりもはるかに小さいのだ。
アフガン人はインターネットを駆使できるし、近代兵器を扱える。知識もある。庶民はそうではないかもしれないが、エリートはアメリカのエリートと知的にも能力的に差がない。
