憂邦烈士連合会@ソロプレイ

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古代ギリシャで不自然なことはたくさんある

 NHKの番組歴史探偵でギリシャをやっていたが、普段日本史をやっているときはいろいろな発見があって楽しいが、世界史になった途端、チープで教科書的になってしまうのはなぜだろうか。

 さて、私は常々疑問に思っていたことがある。
 教科書的な古代ギリシャのヒストリーへの不自然さ、である。元寇が神風が吹いて助かった(時期的に台風がくるわけがないのだ)というのと同じくらい不自然なストーリーで溢れている。

 古代ギリシャで不自然なことはたくさんある。

 そこには、ユーロセントリズムが横たわっているとしか思えない。

 1.古代地中海史では、ほぼギリシャ語文献だけが引用されること。
 紀元前5世紀以降、突然ギリシャ語文献しか参照されなくなる。あまりに不自然だ。粘土板文書はどこへいったのか???

 2.当時の国際語アラム語ギリシャ人エリートは使っていたはず(ヒッタイト人、アッシリア人エジプト人ペルシア人みんなエリートはこの言語を使って外交をしていた)だが、言及されているのを見たことがないこと。
 エジプト人ですら使っていたものを使わないのはあまりに不自然だし、ギリシャ人は交易の民でもあったわけで、ますます使わないはずがないのだ。
 そもそも、アレクサンドロス以前にはギリシャ語は少しもエリートの言語ではなかった(16世紀以前の英語が世界の片隅のマイナーな言語だったのと同じ)。
 またギリシャ語が普及した理由も知性とか哲学とかとは無関係で英語と同じ(支配者の言語だった)。

 3.ギリシャの芸術がエジプト由来なのは明らかだが、アクロポリスがペルシア由来の気配しかしない(ペルセポリスのそれと構造がそっくりじゃないか?)が、言及されているのを見たことがないこと。
 ヘロドトスは少し言及しているらしいが、西欧の歴史家たちはペルシア戦争を史実のように書き散らしながら(物的な考古学的資料はほぼないんだからペルシア戦争なんかなかったかもしれない)、ヘロドトスが当時ペルシア文化かぶれが多かったという記述が嘘扱いされていることも奇妙だ。

 4.ローマギリシャ文明とされていることが多いが、ローマ人の基層文化がそもそもエトルリアからきていることへの言及があまりないこと
 これも非常に不自然である。エトルリアではエトルリア語と並んでフェニキア語が広く通用していた(エトルリア人フェニキア文字ギリシャ経由ではなく、直接受領した可能性もある)らしいので、ローマ人も黎明期にはフェニキアの巨大な重力を受けていたのではないか?

 5.4と類似だが、ギリシャアルファベットがフェニキア由来なのが明らかな時点でギリシャ文化の源流のひとつがフェニキアにあるとみていいはずだが言及されているのを見たことがないこと。
 まさか文字だけ受領するか??

 6.名前か引用しか残っていないような哲学者がいかにも偉大な人物として紹介されることが多すぎること。
 そんなことをしていいなら、古代中国の思想家の数も10倍になるだろう。

 7.アリストテレスの異様なもちあげ(思想家としてはプラトンの方が優れていない? アリテレって間違いだらけの俺様理論を言っているだけの印象)。リストテレスの理屈や論法に何一つ知性を感じないのは私だけだろうか。
 逆にいえば、だからこそ反論や反駁や注釈に対象になったのかもしれない。

 8.ギリシャ喜劇悲劇のようなエンターテイメントはギリシャにしかなく、他はどこも宗教国家だったという風潮。そんな馬鹿な話があるだろうか??

 9.8に関連して、ギリシャ人は合理主義者で宗教的ではなかったという風潮。

 10.陶片追放のどこか民主的何か理解に苦しむこと(単なる村八分じゃない?)。

 11.やたらとペルシア帝国その他で活躍したギリシャ出身者! というエピソードだらけなこと。
 ペルシア軍および官僚機構には、より身近なアルメニア人などもいたと思うが言及がほとんどない。ユダヤ人だっていただろう。ユダヤ人はペルシア王を非常に敬愛していたことで有名(バビロニアから解放し、神殿を建設してくれた)だ。

 12.東ローマについて言及しないか無視している西洋の学者の多さ。
 西ローマはローマの正当後継者じゃないと思うよ。で、東ローマに言及してしまうと古代ギリシャから連綿と続く西欧世界という大嘘(東ローマは北アフリカ世界や中東に親近感を持っていた)バレる。

 13.ヘレニズムがインドへ多大な影響を与えたという妄想(ガンダーラ芸術)がまかり通っていること。リアリズム=ギリシャとか短絡的じゃない?