メタバースってのは、ようは、新しいプラットフォームを創造し、プライマリなプラットフォーマーになろう、ということでしかない。アップルやグーグルのアプリストアみたいなもんだ。
一度プラットフォーマーになれば、サーバーを維持するだけで無限にもうかることがAppleによって証明されたので、皆、クラウドサービスのプラットフォーマー、LPWA(sigfoxやソラコムなど)のプラットフォーマーになろうと必死だ。
メタバースもその流れにすぎない。早期に参画することで、第二のAppleになろうとしているだけだ。
ソニーもどうにかPSストアだけではなく、クラウドゲーミングのプラットフォーマーになろうと必死だが、この分野からはGoogleは撤退してしまった。イマイチなのであろう。
ソニーは確かにコンシューマーは抑えているが、PC市場はスチームがほぼ一強な上に、最近はなんでもかんでもPCマルチだから焦っているのだろう、とは思う。
電子書籍もプラットフォーマーをめぐる争いが初期にはあったが、最近は下火である。ほぼAmazonとDMMでケリがついたのであろう。
プラットフォーマーはかつてのフランチャイズや代理店と異なり、乗り換えが非常に困難であることが特徴だ。
カローラが気に入らんならスバルに変えてもいいのだ。簡単な話だ。しかし、グーグルのストアからAppleのストアへ変更するのは難しい。すでに購入したアプリが使えなくなるからだ。
購入したアプリは資産であると同時に、人質でもある。
デジタル財産の中古販売権は認められるべきであろう(日本では議論すらもないが想定内すぎる)。
もっとも、デジタル世界がベンダーロックしやすいのは最初からわかっていたことだし、IBMはそれを利用した。しかし、PCの登場を予期できず、MSに引導を渡されることになるわけだ。
MSも30年、もはやWindowsがこの世から消えるのは想像できない。
ギーク(Windowsヘイターの異名)が何を言おうが、もはやWindowsには莫大なIT資産があるから、消滅は無理であろう(大失敗のItaniumも製造終了は去年だし、互換機は出続けている。System360だって半世紀以上まえの互換を持つ)。
もっとも、MSは後方互換性に悩まされ続けているわけだ。WindowsにはMS-DOS時代からの遺産があるため、レガシーシステムを容易にパージできない。
Windows使いにくさはここに原因があるが、その代わり、LinuxやMacOSよりも遥かに、RS232Cなどのレガシーデバイスを制御しやすいのも事実だ。
Linuxの場合、最適なディストリでないと煩雑になってしまうし、MacOSは最早できないだろう。多分。Androidも通常の手続きではできず、特殊なことをしなければならないし、性能も遅延やロスが目立ち、使い物にならない。
MSは半ば公共事業的な局面にあって、赤字でも(まあ黒字なんだが)Windows部門を切れない。だから11を出した、ともいえる。
Appleはいまのところ、民生ユースがほとんど(世の評価に反し、GAFAで最もなくなっても誰も困らない企業である)である。このため、容易に互換切りをしてくるが、Androidは産業用途が目立ち始めた。
もっとも、メタバース自体は特に目新しくない。
どうぶつの森もメタバースみたいなもんだし、セカンドライフという先例もある。セカンドライフ自体がジジイの投資家を騙す詐欺だったので、メタバースもおよそ詐欺であろう。
特に日本は投資家はジジイなので、さぞや騙しやすかったろう。TVでセカンドライフ特集がすさまじかったのを憶えている。
そもそも、プラットフォーマーを気取るなら、そこにコンテンツを供給したくなるようなインセンティヴを持たせなければならない。
メタバースは投資家を騙すことが優先で、コンテンツ供給へのインセンティヴが全くない。メタバースで儲かるというのはメタバース社の株で儲かるということしか意味しないからだ。
アップルのAPPストアがどうして流行ったのかと言えば、初期にクソみたいなアプリで何千万も儲かった、という話があったからである。
アップル社はハード(iPod)で儲けていたので、ストアは二の次だった。あくまでも当時は。そのため、コンテンツ供給サイドにインセンティヴが働いたわけだ。
株価もハードの売り上げとともに上昇していたので、「株で儲かる詐欺」もしないでよかった。そう考えれば、メタバースの成功は置いておき、少なくともメタバース社がプラットフォーマーになる日は絶対にないな、と断言できる。