哺乳類は昆虫や鳥類と比べ古いスタイルの動物である。
このため、哺乳類の社会は鳥や虫に比べて単純で面白みを欠くものとなっている。
たとえば、鳥の求愛行動は多種多様であるし、形態もさまざまだ。虫は真社会性をもつ。
が、古い哺乳類という動物は、暴力的に強い雄がモテる・偉いという古い原則が維持されている。
人類はどんなに自分を万物の霊長といおうが、この原則は本能なので維持されている。
弱男は、女は暴力的な男が好きだというが、これは非常に正しい。
そもそも、鳥類や虫のように、ディスプレイによって雌を取り合わないし、雌の方が主導権を持つ種は何百もあるうち、数種にすぎない。
哺乳類では雄が大きく、雄が主導権を持ち、雄同士の争いは暴力で決まり、勝った側は雌の意思を無視して交尾できることが多い。
雌もまた、弱い雄との交尾は強烈に拒否するが、強い雄との交尾は基本的に拒否しない(強い拒絶を示さない)。
また、鳥類のように雌側の嗜好も雑多ではなく、強さという単純な軸で決まる。
女が男を煽る行動をあえてとる(自分からは交尾をせず、相手を挑発して交尾へ持って行く)のも雌に主導権がないことの現れだろうし、男を怒らせることでその暴力性を確認しているのだろう。
実際、怒鳴らない男の方がモテない(結婚には向くと言うだろうが)。
社会もまた、蟻や蜂のように生まれながらに決まっていないが、事実上、決まっている。
暴力的に強い雄が基本として支配者になる。
もっとも、高等な哺乳類だと、筋肉だけでは決まらず、知性も大事だが、これは「効率よく暴力を行使する」知性のことだ。
これは狩りのうまさにも繋がるだろう。
蜂の社会や蟻の社会では、生まれや育ちで社会の構成が決まっているため、革命はない。
しかし、暴力で担保される哺乳類社会は、暴力によって革命が起こる。
老いた雄ライオンは若い強い雄ライオンに雌を盗られる。
蟻や蜂の社会ではそうではなく、交尾が終わった雄は捨てられる。
それも最下層の働き蜂に。そう、社会ができているからで、だから蟻塚は数千年も存在し続ける(シロアリは昆虫ではないけども)。
ゆえに、哺乳動物ある人間はどんなに理性や知性を発達させても、暴力への憧れ、服従を捨てることはできない。
お金よりも本当に雄がほしいのは「暴力」である。これは現代社会では支配と呼び変えてもいい。
優しい=弱男というのも、これは小柄なトドが雌のふりして雌と交尾する戦略に通じるものだ。
強い雄に優しさは必要ない。横暴に振る舞っても、女は寄ってくる。寄ってこなくても、支配すればいい。