人類は知能だけではなく、体力と解毒能力の高さで生存したといわれている。
どういうことか。
休憩なしに水分補給だけで40キロ連続で走り続けることができる哺乳類は少なく、他には馬くらいしかいない。ネコ科動物は1キロも連続で走ることはできない。
人間はこの能力で、「長時間狩りを続ける」という戦略を取った。対極なのはチーターだろうか。彼らは秒で狩りの成否を決める。
武器だけではなく、時間もかけることでマンモスを狩ったのだ。
ライオンの狩りを見ればわかるが、彼らは長時間の狩りはできず、すぐ諦める。しかし、人類は何日でも獲物を交代で追う。
これは体毛を減らし、汗を手に入れたおかげだ。さらに、直立しているせいで太陽に接する面積が少ないため、炎天下での活動がしやすい。二足歩行にはそういうメリットもある。
また、二足歩行はサルの仲間が苦手とする水泳を可能とした。
ネギがネコ科動物に毒物であるのは有名な話だが、人間の雑食性はとても高い。早い話、ふぐ毒のような強力な毒素でなければ解毒してしまうから何でも食えるのだ。
食えないものはない、くらいに食う。これに加熱処理が加わったせいで、人類は更に生息域を拡大していった。
穀物、果実、魚介、肉類、昆虫、ここまで何でも食う哺乳類はクマくらいしかいない。
また、上記の二つほどではないが、人間の二足歩行は首絞めを可能とした。
ライオンのように首を掻っ切ることはできないが、背後からとりつき、気道を抑え込むことで相手を窒息死させることができるようになった。強靭な動物も、気道を抑えるのは簡単だ。