今や、アニメを見て語るのはおじさんだ。
今のオタクはVらしい。
Vは見て語るのではなく、もはや、Vが「語ってくれる」。行きつくところに来たな、と思う。
アニメを見て、Twitterで同志探しも不要。
放送にコメントがいっぱいつく。
思えば、このシステム、かつてのニコ動のアニメ視聴に酷似している。しかし、あのときはまだ視聴者との語りだったはずだが、もはやそうではない。
視聴者はVと語るのだ。
宮崎勉以前のオタクたちは、いわゆる創作世代のオタクたちだ。
創作はしなくても一定の行動力がないとオタ活は難しかった。資金も必要だったので、比較的高学歴が多かった。
SFオタクが多かったのもこの時代だろう。
第二世代は私の世代だ。
この世代は創作的な部分はさがったが、まだお互いに作品自体について語ることに熱心だった。まだネットは黎明期だったが、かつてほどの行動力はいらなくなった。
SF(創作的余地、考察的余地のあるもの)の地位は低下した命脈はまだある。
が、その代わり、キャラの比重があがり、キャラについて語らうことが増加(エヴァは両方を含み、過渡期作品といえよう。ナデシコは第二世代の象徴的な気もする)した。
今は第三世代といえるだろう。
もはやオタク界隈で語ることもしない。Vだけじゃない。実況動画もそうだろう。
プレイして、結果みんなで語らう(第二世代)のでも、自分たちでゲームを担ってプレイ(TRPGなど)するわけ(第一世代)でもなく、実況者やVが語ったもの=自分の経験として受容する。
ひろゆきが復活したのもそうだし、キッズや老人にひろゆきが受けている理由(老人の場合は第一世代に非該当の老人たち。実際、おやじの同世代がネット陰謀論にはまっていて目も当てられない)だ。
もはやオタクは語らうこともしない。
これは創作にも表れている。
最近の作品群は登場キャラについてタイトルで説明され、このキャラは何を考えているのだろうか? という内面の考察は考慮されず、まるで書割のように「読者の想像の範囲内の行動」だけをとる。
これから逸脱すると炎上する。
かつてキャラクターの記号化を難詰したのは第一世代だと思うが、現在はキャラクターのゲーム化というような、「このようなキャラメイクなので、このようにしか行動しません」というもっとひどい状況にある。
かつてはやったツンデレだが、その象徴的作品であるゼロ魔を見てみると、テンプレ的な返しをルイズが行うのはコメディ部分で、シリアス部分ではそうではない。
現在はコメディシリアス関係なく、こういうキャラは必ずこう、みたいになっている。
こうなってくると、〇〇さん系の開祖の高木さんがたたかれそうだが、高木さんはゲーム的動きをしているようには見えない。ただし、後続作品群はゲーム的だ。
だから高木さんと西方の恋の行方は発展するのだろうな、と思うから続きが気になる。が、タイトルで関係性が決まり、テンプレ通り以外の行動をしない作品の続きは気にならない。
きらら系も一世を風靡したが、どっちかというと、これはきらら系ではないだろうか。ただあれは四コマで、息抜きに読むものだが、きらら系をストーリー漫画にしてしまったのが、現代のそれではないのか。
第一世代、第二世代、第三世代とわけはしたが、かなりざっくりと年齢幅は広い。
世間では10年区切りらしいが、そっちのほうが的を射ていそうではある。まあ、これは私見だからこれでいいとしよう。
実際にはアニメでわけると、鉄人28号世代(1963)、ヤマト世代(1974)、ガンダム世代(1979)、DB世代(1986)、エヴァ世代(1995)、ハルヒ世代(2006)とかいろいろあるかもしれない(鉄人は「以前世代」かもだが)。
が、2010年代は何も思いつかない。
まあ、個人的に90年代後半から00年代に詳しいだけとも言える。
化物語(2009)、狼と香辛料(2008)、ゼロの使い魔(2006)、とらドラ(2006)、けいおん(2007)、もやしもん(2007)、プラネテス(2003)、ガンスリ(2003)、ひぐらし(2006)、マクロスF(2008)、ガンダムSEED(2002)は流行ったと思う。
90年代は先にあげたナデシコ(1996)、エヴァ(1995)以外だと、カードキャプターさくら(1998)、セーラームーン(1993)、ガンダムW(1995)、スレイヤーズ(1995)あたりは受けていた気もするが、10代だったし、あまり覚えていない。
ひぐらしはリメイクされたし、狼と香辛料もリメイク予定だ。明らかに小金を得た30代40代を狙っている。
世の中にはリメイク周期がある。
魔法使いサリーは初代が1966年で、リメイクが1989年。23年経っているので、当時小学校低学年が30代になっている。セーラームーンも初回が1992年で、リメイクが2014年で22年経っていて、小学生が30代になっている。
ひぐらしや狼と香辛料のリメイクが20年未満なのはボリュームゾーンが小学生ではなく、20代だったからだろう。
話がそれたのだが、2010年代の覇権アニメって何?
って思って調べたけど、ラブライブ(2014)、ガルパン(2012)、けもフレ(2017)なんだね。よく知らないんだ。ギリギリ、俺妹(2010)、まどかマギカ(2011)までだね・・・。
で、少し話が戻ると、SF者の衰退とオタクの創作性の欠如は連動していると思うのだ。
ナデシコはエヴァなんかよりもずっとバックグラインドは硬派だったが、最近はそういうSFアニメってないのではないか。2000年代の攻殻機動隊はもともと漫画だし、原作は20世紀のものだ。