よく、日本は韓国に技術を盗まれた! とかいうが、高等な技術というのは盗んだところで実現できんのだ。
たとえば、あなたが大谷翔平を24時間監視し、彼から彼の技術のすべてを教えてもらったとして、メジャーリーグで二刀流で、そこそこ活躍するとか無理だろ?? まあそういう話なのだ。
韓国が日本の技術をコピーできたのは、地力があったからで、分野によっては逆転されたのも実力があったからだ。
中国やソ連は早い段階に核実験を成功させた。
インドやパキスタンはこれらにだいぶ遅れたが、これは結局、地力や実力の差にすぎない。
ソ連も中国も一貫して大国だった。
民族が多すぎ、漢民族のような圧倒的多数派もいないせいで、全然統制が取れないインドや、人口は多いが大国であったことのないパキスタンとはそもそもの格が違う。実績や累積が違う。
逆にどんなに技術力があっても、マネジメントがクソだったりすると実現しない。
MRJがいい例だろう。
結局完成しなかったではないか。
日本の技術力的には問題なかったはずだ。しかし、組織やマネジメントがゴミであった。ボンバルディアのマネジメントを入れてさえ無理であった。
アフリカもいい例だろう。
アフリカには世界中から技術の導入が行われているが、彼らアフリカ人は盗むことさえしない。だから、コピー品すら出回らない。
盗んで学べ、ではないが、技術を盗む気があるやつはその技術を実現する気があるやつだ。
金銭や物品と違い、技術は盗んだ後に実現できるだけの能力がないと意味がないのだ。
日本人は中国人や韓国人をアフリカ人と同じと思ったのかもしれないが、そうではなかった、ということだ。
もともと中国人に至っては勉強熱心で有名ではないか。科挙の国だぞ。
だから、盗まれたからだ!
とか言うのは言い訳にもならない。
盗まれた技術が所詮は中国人韓国人に真似されてしまうレベルだったにすぎない。
大谷の技術は真似できなくても、そのへんの木っ端日本プロ野球選手の技術なら、まあ、真似できるやつはそこそこいるだろう。
その辺になると、球界に入れたのは運みたいなもんだからだ。甲子園に行ったレベルのやつなら容易にマネできるだろう。
さて、日本の技術で真似できなかった技術のひとつに一眼レフがある。
一眼レフなんぞバラせば構造は丸わかりなので、簡単にパクれそうだが、1970年以降、圧倒的に日本が強く、ついにはライカもさじを投げ、ミノルタのOEMをリリースした始末だ。
ドイツ人さえ真似できなかったのだ。
最終的にライカカメラはR8R9という一眼レフでミノルタOEMからの脱却を図るが、AF機構を組み込むことは技術不足でできなかった。
このとき、日本製一眼レフはAF登場から20年近く経過しており、ライカの遅れはどうにもならないレベルになっていた。
中国人やロシア人は一応一眼レフを製造はしていたが、日本製には遠く及ばず、韓国では製造もできなかった。もっとも、一応、製造できていた点に中ロの地力の差を感じる。
サムスンはペンタックスと協業し、ペンタックスは技術を盗まれたうんぬんかんぬん騒がれたが、結局、サムスンは一眼レフはリリースできず、ミラーレスをリリースした。
正直、一眼レフ以外のメカニカル部分以外、たとえばデジタル部分やAFモーター制御技術において、サムスンがペンタックスから得るものは何もなかっただろう(サムスンは世界最大規模の電子機器メーカーだぞ?)から、多分、何も盗んではいないし、結局、サムスンは撤退してしまった。
一眼レフの技術はたぶん盗まれてはいただろうが、日本勢以外の実現は結局なかった。ないまま、一眼レフは過去の遺物になってしまった。