憂邦烈士連合会@ソロプレイ

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【映画批評】シンウルトラマンという駄作

 庵野が優れた作家なのは認めるが、シンゴジもシンウルトラもイマイチだった。
 やはりファンメードは碌なもんじゃないユニコーンガンダムが福井の同人作品でしかなかったように、シンウルトラも庵野の同人作品でしかない

 ゴジラは第一作が傑出して出来がよく、まるで足元に及ばなかった。シンと呼ぶのもおこがましい。
 ウルトラマンも、私は一作目を全部みたわけではないが、少なくとも第一話の出来は出色である。シンウルトラでは話にもならない。

 やはり、ファンが作ってはダメだ。
 以下、いくつか気になった点。

1.変電所のギミックがオタク臭い。
 悪いことではないが、こだわる箇所が違う気がする。
 ウルトラQウルトラマンとロゴが変化するのをまねたオマージュは評価する。

2.ウルトラマンいなくてもいいのでは?
 そもそも最初に怪獣を自衛隊が撃退していて、人類が苦戦している描写もないので、ウルトラマンの必要性が皆無なのだ。

3.禍特隊の行動のイミフさ。
 なぜ全員で現場に出張るのか意味不明だ。バックアップもいない。
 
 科特隊はビーム兵器で戦ったり、戦闘機に乗っていたが、そういうわけでもなく、現場でパソコンとにらめっこ。
 意味がわからない。

 シンゴジラでうけたからって、国家ご謹製の対策チームをだしているわけだけど、シンゴジのときも中身がなく、今回はもっと中身がない
 シンゴジよりも対策チームの規模が少なくなったので、なおさら中身のなさが露呈している。

 また、ゴジラシリーズはもともと総理や国会が出てくるシリーズだったが、ウルトラマンは必ずしもそうではなく、科特隊はほとんど政府とのつながりは描かれていない。
 このためオマージュが細部だけで、肝心な骨の部分に対するオマージュを感じない
 ファンはゼットンと格闘戦してほしかったはずだろう??? なんだよあれ。Qのやり直しか?

4.ウルトラマンを怪獣扱いしている点。
 ハヤタとウルトラマンは対話していたが、今回は主人公とウルトラマンとの間に対話がないため、ウルトラマンが単なる怪獣にすぎなくなっている。
 意図的だとは思うが、センスがない

5.禍威獣
 リアルな政府とのやりとりとかアイロニーをきかせるなら、禍威獣なんてネーミングをつけるはずがない。普通に怪獣だろう。

6.庵野の社会経験のなさ。おかしなリアリティ。つっこみどころ満載
 政府の描き方。
 政治に対するアイロニーが、まるでセンスがなく、テントの中でいちいちパソコン並べていたり、とてもリアリティがないパソコン一台でロケットを飛ばす時代に何をしているのか
 頭の中が本当に子どもの特撮から進歩していないのだ。
 で、進歩していないなら、政府だの外交だの社会派ぶる必要はなかった。社会派ぶるなら、もっとリアリティある描写をすべきだし、子どもの特撮がいいのなら、自衛隊なんか出す必要はない。科特隊でいいのだ。

 そもそも、禍威獣対策なら、そういう管制センターがつくられているはずだ。対策チームのいるビルの中に管制センターがないのは変だ。
 確かに完璧な映画はない。
 君の名も、「過去にさかのぼって入れ替わっているなら、TVなんかで気づくだろう??」というような突っ込みができるが、正直、見ている間は気づかなかった。
 そう、演出やストーリーテリングに騙されて、アラに気づかなった。しかし、シンウルトラマンは話もつまらないし、演出もよくないので、とにかくアラが目に付く

7.絶妙なダサさ。
 これは賛否両論だとは思う。しかし、対策チームがスーツなのはどうなのか。

 科特隊の制服がかっこいいとは思わないが、スーツよりは絶対いい。
 ガダカという神映画があるが、これは主人公が宇宙へいくときスーツのままなのだ。ソラリスのロシア版も、ロシアのはずなのに日本の高速でロケしたせいで日本語看板がでてくる。

 これらも違和感はある。

 が、ガダカは話の本筋が宇宙へ行くことではないし、ソラリスは監督が「つまんねえ映画をつくるため」の意図である。
 しかし、シンウルトラが意図的なら、演出家としてダメだ。
 というのも、ガジェットにはオタク的こだわりがあるのに、対策チームの服装にこだわらないのは明らかにおかしい
 たとえば、変電所にギミックにあれだけ尺を取るのに、と違和感を覚える。
 
8.安っぽいCGと逆張り
 あえてミニチュア特撮感を出したかったのかもしれないが、だったら、ゼットンがチープなCGでしかないのはダメだろう。とにかくちぐはぐである。
 ついでに、ウルトラマンの動きがかっこよくない。むしろエヴァのほうがウルトラマンっぽい動きをしているんじゃないか? というくらい、動きはダサいし、ウルトラマンっぽくない。そもそも、レスリングスタイルの構えすら取らない。

 シュワっとも言わない。

 本当にこの人、ウルトラマン好きなの?
 カラータイマーを外したことからわかるように、単なる逆張りじゃないの?

9.知的に見えるが、ギャグなのか??
 全編がギャグにしか見えない。俳優たちは笑いをこらえるのが大変だったんではないか?

10.表層だけで掘り下げなく、人間味のない話。
 ウルトラマンが人類を愛している理由が不明すぎて、まるで入り込めない。ストーリーが雑としか言えない。
 ハヤタ隊員は熱血漢だったし、ウルトラマンがハヤタ隊員を通じて、人類と交流していく中で人類愛が芽生えるならいいのだが、そんなシーンは0だ。
 とにかく、意味不明すぎて怖いくらいだった。

 エヴァは衒学的なセンスでけむに巻いたが、論理的整合性も、物語的整合性もなく、ご都合主義でしかない脚本(ベータ装置をぺらい論文だけで人類が簡単に解析してしまったこととか)が、エヴァの衒学的センスを取っ払ったことで露呈してしまっている。

 人間ドラマを期待はしないが、少なくとも、ハヤタとウルトラマンは最初に会話をした。ここを削ったせいで、ウルトラマンのパーソナリティがまるで視聴者にわからない。
 メフィラス星人の方がずっとどういったキャラクターなのか、目的は何かがわかる。
 だから、ウルトラマンがヒーローではなく、思考の読めない怪獣にしか見えず、これはむしろウルトラマンへの冒涜ではないか? とさえ思った。

 結果的に、シンゴジから順当に売り上げがさがり、シン仮面でさらに下がったのはもう必然だ。

 シンゴジが受けたのは、庵野ではなく、調整役の腕がよかったからだろうし、ハリウッド版ゴジラのおかげで、ゴジラウルトラマン仮面ライダーと違い、大人も鑑賞できる素地ができていたし、ゴジラはハリウッド殿堂入りするほどのスターだ。そもそも、題材の格が違った。
 さらに、仮面ライダーウルトラマンは現役で作品が作られているシリーズだが、ゴジラはFWから10年以上たっており、新しいゴジラ映画に飢えていた層がいたのも大きい。

 というかね、ファンなら喜ぶとか素人にはわからんとかいうけどもね、ゼットンウルトラマンが格闘戦しなかった時点でだめなんだよ。その一点だけでも落第なんだよ。ファンにとってもさァ。
 怪獣もファンも素人もよく知っているバルタン星人出さないのも変だったしね。

 逆に言えば、ゼットンと格闘戦して、ウルトラマンが勝てばそれだけでよかったともいえる。
 やっぱり、この映画はウルトラマンを冒涜しているように思う。
 ファンが描いたからといって、エグいエロ同人は許されないのと同じで、まあ、許されないと思う。