初音ミクは日本を代表するキャラクターになったと個人的に思うが、その出自は特殊だ。異端ともいえる。
というのも、ミクはキティやリラックマのように版権商売用に作られたキャラクターでもないし、アニメや漫画のキャラクターでもない。一番近いのは、ペコちゃんとかだろう。
初音ミクはヴォーカロイドソフトをクリプトンが売るためにキャッチ―さを求めてパッケージにしただけ、それが全てだったのだ。だから、どんなキャラクターよりも設定がない。バックボーンがない。
ペコちゃんは不二家のイメージキャラでしかない。
それで不二家は稼ぐ気はなかったわけだが、人気は出た。グッズもある。
コーワのカエルもそうだろう。というか、コーワの知名度の方がもはや低い。みんなあのカエルは知ってるだろう?
また、デザイナーのKEI氏はキャラクターデザインの才能があったとはいいがたい点もある。確かに特徴的な絵柄だが、キャラデザセンスは見受けられない。
実際人気ではミクが圧倒的で、もはや二番手はゆかりだろう。他のクリプトン系ヴォカロ人気はあまり高くない。
ミライアカリくらいだろうか。後にヒットさせたのは。
ZUNや鳥山明、尾田栄一郎のようなキャラクターデザインの才能がKEIには見いだせない。いわゆる、「自分の実力以上の何かを生み出してしまった」典型例だろう。
藤田咲もまさかサンプリングボイスとして仕事をしたキャラで有名になるとは思ってもみなかったろう。実際、大ヒットは誰も予見できず、藤田は最近までほとんど実入りがなかった。
買い切りだったのだ。泳げたいやきくんみたいな話だ。
また、ミクはUGCの代表例みたいに言われるのだが、それは10年前の話で、今はセミプロみたいな連中がミクを使っている。
加えて、プロセカはかつてないほど人気だ。プロセカの人気にDIVAシリーズでは太刀打ちできない。
つまり、UGCとしてではなく、もはや一つのコンテンツとして若い子たちは消費している。
だいたい息の長いコンテンツは幼児に刺さる。
うちの子もミクが好きだが、魔理沙が好きな幼児も見たことがある。確かに東方のキャラは子供にもウけそうだ。
キティはおばさんが好きだが、幼児も好きだ。そういうことだ。
ミクは中国のように、バブルだ崩壊すると言われて10年経ったように、オワコンと言われ続けても毎年最盛期だ。
プロセカの売り上げは大きく、フィギュアも出まくる。
特にミクのフィギュアは手堅く数が出るので、べらぼうにクオリティがよい。メーカーも堅い商売なので資金を注ぐし、真面目に商売する。
緑髪は不人気と昔言われたが、ミクの知名度の高さはやばい。アニメを見もしない奴も知っている。千本桜なんかみんな知ってた。
ミクはオワコンにはなりそうもない。
むしろ、AIを駆使してAIミクをつくるやつが出るまで余裕で存命しそうだ。
もう、アンパンマンとかドラえもんと同じコースに乗った。15年前に魅入られた連中はおじさんだし、いまも10代が魅入られている。
さらにだ、エルメスとコラボしていたが、ミクの強さは異様なコラボの多さと大企業から中小企業までその仕事を選ばない勤勉っぷりで、キティに酷似している。
キティとリラックマも仕事を選ばない。コンドームまであるからね。
これはミクをつければ一定数掃けるという効果のせいだろう。
しかし、不思議なのは通常、キャラクタービジネスは公式絵が優遇されるものだが、KEIの公式絵はほとんど使用されないばかりか、途中から絵師が変更された。
変更後の絵はよく見る。まあKEIの絵柄は特殊だからね。
また女性人気の高さが不可思議である。
明らかにミクをオマージュしようとしていた、のちのVTuberたちや、ほかの女性型ヴォカロとの違いはここだ。最早女性人気の方が高そう、とまで言える。
これは確かに納得できる話で、人気のわりに昔から薄い本が少なかった。女性人気がもともと高かかったのだろう。
これはミクさんにはエロスがないことを意味する。KEI氏の絵柄も相まって、ほとんど性的な部分がない。