憂邦烈士連合会@ソロプレイ

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復讐者

 ガンダムブランドを復活させたGガンダム
 ガンダム界に新陳代謝をもたらした中興の祖ガンダムSEED
 SEED以降、20年近くこれといったヒット作がない。

 水星の魔女はティーンをガンダムブランドに取り込むことを目的にしているようだ。
 そうだろう。SEED世代の私も、もうまごうかたなきオッサンなのだから。
 水星の魔女はとにかく脚本が良い

 キャラクターもサブキャラも魅力的に書かれている。背景はわからないが、何かあるんだろうなと。
 書割としてのモブはいないのがすごい。なにせ、モブが名有り(チュチュ)と殴り合うし、作画も気合入っている。

 そう。

 私がすごいなと思うのは、顔芸だけではなく、キャラクターの身体の動きが感情表現の一端としてきちんと機能していることだ。
 これはわりかしキャラデザが簡素なおかげで、作画コストが下がって実現できているのだろうとは思うが、アクションシーンではなく、感情表現としてキャラの身体の動きにも神経を使っているアニメはなかなかない
 たとえば、スレッタのコミュ障ポーズは有名だが、ジェターク寮の二人組ポーズ。

 ガンダムってなんでもありなんだ、というGや、現代風にスタイリッシュにしたSEED。
 もしかすると、水星の魔女は「ドラマとしてのガンダム」を目指しているのだろうか。

 バンクを使ってまで戦闘シーンを入れたりしないのもそういうことかもしれない。戦闘シーンをカットしてでも、ドラマのほうを描こう、というわけだ。
 私の嫁がジオリジンを面白いと言っていた。ガンダムなんか見ないのに、ドラマとして面白い、と。
 確かに一年戦争が始まる前までのジオリジンはシャアアズナブルの貴種流離譚のドラマとして見れる

 普段ロボットプロレスを見ない人からすると、必然性のない戦闘シーンは単なる無駄にしか見えず、無法に争っているだけにしか見えないようだ。
 嫁もそういっていた。

 しかし、スレッタ自身は主人公ではあるが、いまのところ、水星の魔女という作品を構成する世界観の中心にはいない。むしろそれは、母親であるプロスペラのほうだ。
 私はここで戦争がはじまって、無理にスレッタを話の中心に持ってこなくてもいいと思っている。
 しかし、プロスペラの復讐が何らかの形で決着しないと水星の魔女というアニメは決着を見ない

 そもそも初代ですら、アムロは主人公だが、作品の世界観(ドラマ)の中心はシャアであって、シャアがキシリアを殺害することで物語は終わるのだ。
 プロスペラが仮面なのはオマージュなのだろう。シャアと同じ復讐者としての

 仮面枠でありながら、フロンタルに違和感があるのは、彼が復讐者ではないからじゃないだろうか? 鉄仮面やシュバルツ、ゼクス、クルーゼは復讐者だ。

 そもそも、初代、Z、逆シャアと物語の真の主人公は一貫してシャアアズナブルである。シャアアズナブルの死によって、事実上初代から続いた三部作ともいえる作品群は幕を引く(以降は蛇足にすぎないからこそ、初代~逆シャアの間にスピンオフが集中してしまう)。
 こういう作品上の主人公と物語上の主人公が異なる構造はガンダムでは珍しくない。

 ガンダムXでも物語の真の主人公はジャミルだ。
 ガロードは作品の主人公ではあっても、ドラマのテーマとなるべき悩みや葛藤はない。ガロードには物語を通じて解決すべき課題がないのだ。
 ゆえに、ジャミルが終盤ではほぼ主役といえる。

 ジャミルと最初のNTの邂逅によって、NTは妄想である、というメタ的でもある解決によってジャミルは過去と決別する。新しい世代としての象徴として、ガロードとティファの存在が描かれる。そこでガンダムXという物語は終わる。

 だから、どう決着をつけるのか。見どころである。

 プロスペラはどう復讐にケリをつけるのか。

 さて、脚本、キャラデザはよいのだが、メカニックデザインは正直、イマイチかな、と思う。動くとかっこいいことはかっこいいが、00以降の見分けのつかないモビルスーツの系譜だと思う。
 私は00以降のMSの区別があまりつかない。
 ガンダムシリーズはZのメカデザが最高峰なのは今も変わらないが、ターンエーやSEEDのような他のシリーズと明らかに違った雰囲気のメカデザではない。

 特徴的なメカデザではなく、世界観も独特というわけではないので、新サーガを生み出すことはないだろう。
 現在、宇宙世紀が最大のサーガだが、コズミックイラとアフターコロニーが続くサーガの供給源だが、他のシリーズはサーガ自体が成立していない。
 宇宙世紀が圧倒的で、コズミックイラが続き、また離されてアフターコロニーと未来世紀。他はほぼなし。

 まあ、本作で今のところ一番の見どころは、水星たぬきことスレッタちゃんの魅力であろう

 キャラデザ公開時には、なんぞこれと不平を買ったが、放映後はフィギュアーツが1分で売り切れる人気である。私も欲しかったよ。
 引っ込み思案で大人しめだが、言いたいことは言うし、したいことはするし、結構けんかっ早いのがいい。

 売られた喧嘩(決闘)は必ず買う(好意を抱いている男性でもだ!)し、MS戦とはいえ、実質対人戦みたいなものなのに一切躊躇なしに殴りに行く。
 MS戦でも躊躇いがなさすぎる。
 というか、グエルのケツを一話でたたいているしね。わりと手が早い。ついでにいえば、女生徒の中では背が高くわりと恵体である。これもいい。

 水星は環境が劣悪らしいので、そういうところはあるのかもしれない。

 かと思えば、わりとすぐ泣く。メンタルが強いわけではない。
 MS戦はくそ強いし、わりと言いたいことは言うくせに、泣き虫かつ引っ込み思案のびびりかと思えば、猪突猛進的部分もあり、この辺、ミオミオやグエルがスレッタを放っておけない部分なのだろう。
 私がいないとこの人はダメなの! 的な。これが無能ならエリートのミオミオやグエルがかまうはずはないのだが、パイロットとしてはめちゃくちゃ有能だからね。

 天然ジゴロである。すでに約三名おちてるし。
 落とされた視聴者多すぎだろ。