デジタル化とは課税アップデートのことである

 小さな社会では、真面目に生きることに意味がある。
 みんな顔を知っていて、名前も知っていれば、あの人は真面目で信用できる、となる。
 しかし、大きな社会では真面目に生きることはほとんど意味がない。
 嘘や詐称でも、相手の信用を経歴や立場で計るしかないし、いざバレても、すぐに雲隠れできるからだ。
 昨今はこの傾向が拡大しているが、これはネットの普及や、関東への人口流入などが原因だろう。
 30年くらいまえまでは、他県へ旅行以外で言ったことがないやつはいっぱいいたし、そもそも生まれた町村から出たことがほとんどない奴も多かったし、そもそも合併前で市町村の単位自体が小さかった
 酷い犯罪行為でもない限り、ネットは何度でもやり直せる。また広大な社会だ。
 だから真面目に生きることは殆ど無意味どころか、マイナスにしかならない
 その場の嘘、その場の快楽、それでいい。
 社会はそういう傾向を強めている。
 私は、かつてはネットの記名制には反対だったが、いまとなっては賛成である。
 ただし、それには国家による統制の除外という条件が付く。しかし、この条件は永遠にクリアされないのもわかっている。
 とはいえ、記名制になると思う。政府は管理したいらしいから。まあ、記名制は都合がいいだろう。不祥事を出したおともだちのログだけが不自然に消えて、無罪! というのがデジタル化した未来には横行するのだろう。一方、壬申戸籍が今も残っているように、庶民のログは徹底管理され、一円の脱税すら許さないようになるのだろう。
 そしてそうなると、真面目に生きることは実は益々無意味なる。
 国は詐欺を奨励するはずだからだ
 なぜか?
 実は所得にはすべて課税される。で、実は窃盗で得たものも「所得」に見なされるし、詐欺で得た金も「所得」なのだ。だから1000万円の使い込みが発覚したやつのところには1000万円の雑所得に対する納税通知が届くのだ! 馬鹿みたいな話だが事実だ。過去には詐欺事件の主犯から取った税金を被害者に返さないと税務署は言ったため、長い法廷闘争となったこともある。
 だから、情報商材詐欺で儲かっているやつには税務署から課税通知が届き、紐付けされた口座から所得税が引かれるようになるのだ。
 ゆえ、デジタル化すればネットが安全になると思っているのは間違いだし、記名制になれば真面目に生きる意味が出るというのも間違いだ。どっちも違うのだ。
 さらにいえば、一定額以上の口座への入金はすべて雑所得と見なされ、振り込みの瞬間に課税、天引きされるようになるだろう。そして還付してほしければ、くどくどしい書類をいちいち提出し、2,3か月待たねばならないようになるだろう。国の税収は増え、無駄なIT事業を乱発し、お友達はさぞや儲かるだろう。
 課税だけが自動化され、還付のために猥雑な手続きは今以上に増える。年末調整やローン減税だけの世界ではなくなるのだ。やらなければ自己責任、そういう話になるのだろう。
 ほとんど言及されないが、デジタル化の真の目的のひとつがこれだろう。アングラ経済にも課税したいのだ。避ける方法は一つしかない。現金決済、箪笥貯金だ。これを封じるために、キャッシュレス決済も同時に推し進めているわけだ。前の会社は現金支給だったが、現金支給だと追跡が困難になる。すべてのサラリーマン、すべての取引がキャッシュレスになれば、完全な課税が可能となる。
 脱税(と国は言うだろう)がなくなり国庫は潤う。しかし、これまで見逃されてきた課税額とは、単に市中に回っていたのであって、ますます経済は混迷することだろう。もう終わりだよこの国。