eスポーツは嫌いだ。日本ではとんと流行らないが、流行らなくていい。
ただ、世間がもつeスポーツへの偏見というのに与するわけじゃない。そうじゃない。
たとえば、eスポーツはスポーツではないというやつがたくさんいるが、頭が悪い。スポーツは英語で競技を意味し、チェスもスポーツである。だからこの批判は的外れである。
また、eスポーツだろうが、勝つために努力することは必須だし、別に筋肉系スポーツとの間に貴賎はない。というか、この貴賎がないところこそが、私がeスポーツが嫌いなゆえんであるのだ。
つまるところ、私は運動は好きだがスポーツは嫌いなのだ。早い話、競技というものが嫌いなのだ。たとえば、絵や彫刻のように、順位のつかないものが好きだ。歌も、うまい下手がわりと明確であり、好きではない。歌うのは好きだが、コンクール的なのは大嫌いだ。
なぜなら、eスポーツと野球は同じ競技であるが、運動とスポーツは根本的に違う、ということだ。運動は優劣をつけるものではなく、ストレッチ、健康のためであったり、単に趣味であったりだが、スポーツになったとたん、それは競技であり、競技とは闘争の異名にすぎない。闘争は好きではない。しかし、世間一般的に闘争は大変好まれていて、スポーツ中継に白熱し、オリンピックやワールドカップで大騒ぎするのはそういうことなのだ。
いいか? 球投げや球打ちが一体何になるんだ? 100mを10秒切って走ったからといって、一体何が偉いんだ? そう、何も偉くないし、何もすごくない。そういうものを何やら偉業のように言い立てるのは、ストリートファイター(ゲーム)の世界チャンプを英雄扱いするのと同じ、ナンセンスなことなのだ。だから、筋肉スポーツを称賛するやつほど、eスポーツを認めないが、私からすれば同列。野球選手が億の金をもらうなど、あり得ない話。SCの韓国ランカーが億の収入だときくと、びっくりする日本人が多いが、野球の流行っていない国で野球選手が億の年俸といえば馬鹿じゃないの? と言われるだろう。同じだ。
つまり、私はスポーツが嫌いなのだ。
運動は嫌いではない。ダンスも歌も個人でテキトーに楽しむ分には好きである。そう、ゲームもだ。
ネトゲの黎明期は楽しかった。というのも、コミュニケーションツールの色彩が強く、ゲームにガチという感じではなかったからだ。しかし、21世紀も少し経つと、ネトゲはガチ化していく。それがいやだった。勝つためにルーチン化し、強要されるチームワーク。うんざりである。ゲームは楽しむためのものであって、競技(スポーツ)じゃない。だから、ゲームをスポーツと見なすeスポーツが大嫌いなのだ。敵だ、とさえ思う。ゲームを野球と同列にされたくないのだ。
勝つために我慢する? 違う。勝つために努力する? 違う。
ゲームってのはテキトーに楽しむもんなんだよ。スマブラとかもそうだ。ポケモンだって、選別とかくだんないことしてんじゃねーぞ。
だから、私はネトゲは長らくしていないし、最近のネトゲはFPSが主体になってきて、ますます、殺伐として、スポーツ化している。つまんないよね。スプラもWiiUリリース時にやった。ゲーム性も面白く、最初はみんな攻略法もなく楽しかったが、ガチ化するまでの期間限定の話なんだよね。二ヵ月もすりゃ、楽しくなくなる。編み出された攻略法以外の行動をとると叩かれるからね。やーだやーだ。
FPSってだいたいそうなるんだよ。RTSもそうだけど。RTSはわりと好きで、やってたけど、だいたいいつもプロトスでタワーラッシュとかくだんねーことしてたからね。まあ、半々で勝つんだけどさ。でも、1ON1はガチで楽しくないからしないんだよ。4ON4だと、だいたい私みたいな非ガチがいるから、試合が乱れていい。
だからさ、最近のネトゲってコミュニケーションツール要素が低くて、スポーツ化が激しいから、結局、PSやSFC時代みたいな(ネットも普及していなくて、画一した攻略法が跋扈しないいい時代だった。攻略本のデマに踊らされる世界もまた一興)ソロでしかできないゲームに私はずっとまえから回帰してる。ボイチャってのも好きじゃないんだよね。ゲームは息抜きだから、テキストベースで、非リアルタイムなやり取りのほうがいい。
eスポーツは永遠に流行らないでいただきたい。
実際のところ、日本人はいまだにスポーツには清廉さを求めるから、チンピラしかいないeスポーツが市民権を得るとは思えないが、私の住む町のような田舎にもeスポーツチームができていることからして、徐々にそうなっていくんかなと思う。
たぶんだが、いまプロリーグが花のスポーツも、過去にはプロ化に反対する私のような人間がいたんじゃないか? そういう気もする。