憂邦烈士連合会@ソロプレイ

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イスラム教は異常な宗教である

 イスラム教は異常な宗教である。
 カルト、という意味ではない。
 中枢不在、なのだ。
 日本人は勘違いしているが、ホメイニ氏のような人物は宗教指導者とはいっても、一般人にすぎない。なぜなら、イスラム教には聖職者もいなければ、カトリックのような位階や厳格な組織構造もないのだ。

 過去には中枢となる宗教組織があったのだが、アッバース朝のカリフなきあと、いまだに同様の宗教組織はない。
 ISSタリバンカトリックやオーソドックス、国家神道などと異なり、宗教組織ではなく政治組織といえる。だから内部に聖職者はいないし、教義の検討などが行われるわけでもなく、イスラム法に基づいて圧制がひかれているだけで、フランス王がローマ教皇の同意なしに勝手に王権神授説を唱えていたのと同じだ。

 これは明確な開祖と厳密な聖典が存在する宗教としては異常である。

 自然発生的な宗教、たとえば、ヒンズー教神道国家神道ではない)では中枢はない。アニミズムの延長線上にあるからだ。
 また、儒教道教にもないが、道教神道と似た自然発生的宗教で明確な聖典はなく、儒教はそもそも中華帝国自体がその中枢であったので、国家公認の解釈というものがあった。仏教も当初はこの類で、国家そのものが中枢だった。以降、仏教は様々な分派に分かれたが、その分派内で宗教組織が形成されている。

 ゆえに、イスラム教に破門は原理的に存在せず、コーランの解釈は学者の考えが参考にされるものの、実際には個人でいかように解釈してもよく、聖職者も位階もないので、信者の間に優劣はない。皇帝も貧民もアッラーの前では対等だ。ユダヤ教キリスト教では建前上はそうでも、宗教集団内部で厳格な序列が形成されている。

 この特性はイスラム世界の中世における発展に大きく寄与した

 科学の世界はイスラム教徒によって曙を迎え、世界史はイラン人にとって初めて記述され、世界中の旅行記が書かれ、仏教ともキリスト教徒も等しく遇された。
 イスラム世界では、社会的にはどうあれ、宗教的には皇帝の解釈に一般人が従う必要はなかった。

 大事なのはアッラームハンマドだけだった。結果がハディースの発展である。
 このイスラム教の特性は近代以降、悪い方に作用してしまった。
 誰でもムハンマドの解釈や言動に反しなければどうとでもコーランを解釈してよく、破門のような宗教上の制裁もないとすれば、ISSタリバンのようなものがのさばる結果を生む。これがカトリック教徒のテロリストならば、破門された瞬間、彼らに正当性はなくなるのだが、そのような手段がイスラム教にはないのだ。
 近代になってカリフを名乗ったトルコ皇帝でもいれば少しはましだったかもしれないが、実際はそうではない。

 イランは無知蒙昧な国ではなく、日本と大して価値観の変わらない国だし、女性の社会進出も欧米とさほど変わらない反面、ヒジャブをつけない女性が襲われるような前時代的な宗教犯罪がおこるのは、このイスラム教の特性ゆえだ。
 おまえは間違っていると宗教指導者が言ったところで、意味をなさないのだ。ムハンマドだけしか、信者の間違いを原理的に喝破できない。