私が小さい頃は、まだアナログ世界だったので、違法に無料で物を手に入れる方法は万引きしかなかった。
だから万引き野郎はたくさんいた。しかし、ほとんどの真面目な子はそうではなかった。
お小遣いでは無理がある。
ビーダマン、ミニ四駆、遊戯王、ヨーヨー。無理がある。パチモンなら安いが、しかし限度がある。
そこで、採られた手段が「自作」である。
私の世代は少なくとも、おもちゃを自作していたと思う。
遊戯王カードではなく、自作カードで遊んでいた。ビーダマンは本体は仕方ないから買うが、ステージは自作。ミニ四駆コースは高いので、段ボールで自作。
少なくとも「創造行為」をしていた。
ネットなんて画像をDLするのにも平気で分かかっていたし、無制限ではなく従量制だったので、放映していないテレビ番組を見る手段は、ビデオテープで送ってもらう、という方法しかなかった。
CDはMDにコピーして編集していたが、少なくともレンタル代は払っていた。レンタルにないなら、金を出し合って買い、コピーした。
しかし、今の子はどうだ。
簡単にネットでコピーが手に入る。
本体+マジコンすら必要なく、家にあるパソコンにソフトを入れて、違法なROMで遊ぶ。漫画も誰かから借りることもなく、漫画村で読む。
今の子は「違法な無料」に慣れきっている。
YouTubeでは本来放映されていないアニメをいくらでも見れる。
アナログなおもちゃではなくスマホの無料ゲーで遊ぶ。
私が子供の頃は、コピーするにしても代金が必ずどこかで発生し、ものが手に入らないなら創作するしかなかった。
また、安く済ませるには、回し読み、遠隔地の友人の活用といったコミュニケーションが必須だった。スマホとパソコンで自己完結はできなかった。
だから、今の子は創造性がとても低いのではないか。陰キャが増えるとはそういうことではないのか。と思う。
物心ついたときにはスマホ時代だったいまの二十歳以下は「パクリ世代」と呼びたいと思う。
自己完結で満足でき、違法性を感じることもなく無料に慣れきっていて、自分で何かを生み出す能力に乏しい世代だ。
25歳前後が分水嶺だ。
このくらいの世代は小学校時代にはまだネット環境が微妙だった世代で、ガラケーを経験している。公園にあつまってDSをしていた世代だ。なので、私と価値観が近いが、今の10代になるとガラっと変わる。
彼らには我欲がないともきくが、そりゃそうだろう。無料で溢れているし、デジタルデータは所有感に乏しい。