何度も述べている気がするが、IT業界は技術では決まらない。ぶっちゃけ、金と権力で決まる。確かに過去は技術で決まることもあった。IBMのオフコンはその新規性と高い新技術によって普及した。
だが、現在は違う。
イーロンマスクはTwitter(X)を破壊しようとしてはいるが、一回成立したプラットフォームは容易に崩壊しえない。どれだけガイジムーブをしようが、MetaがTwitterの座を奪えることはない。
プラットフォームは販路と同じである。
かつて電機メーカーで販路を持たないメーカーはとても弱い立場だったし、日本の技術力の高い中小企業が技術力もないブランドだけの大企業の下請けをしているのもまた、販路がないからだ。
技術があっても、いいものをつくれても、売る場所がない。
ITにおけるプラットフォームも同じだ。
そして、一回プラットフォームを確立すると、もはやそれは権力であり、権威となる。
IT関連ほど実は権威主義的で権力がものをいう世界はない。
いや、そもそも、多くのユーザーを抱えたサービスそのものが権力なのだ。
Twitterに技術的にすごいことは何一つないし、サーバー負荷も多くはないだろう。
スマホゲームの方が数千倍のトラフィックを抱えているはずだ。
だが、Twitterの利点は、10年以上前からサービスしているという、早期参入による権威である。
IT業界では早期参入してデファクト化し、権力となることで安泰になる。
ゆえに、イーロンが何をやってもTwitterが衰退する兆しはない。
企業はTwitterに金を払い続けるから、金が枯渇しそうにもない。イーロンは壮大な社会実験をしているように見える。
かつて通話アプリで名をはせたSkypeは今では見る影もない。
プラットフォーマ―も滅亡することがあるのではないか? とも思える。だが、これはパナソニックの販路が、ネット通販によって意味をなさなくなったのと同じで、Skypeはハードウェアがスマホへ移行した際、乗り遅れた。結果、LINEやカカオトークがその地位を得るに至った。
今後も何か大きなハードウェア変更、ネットワーク概念のパラダイムが起こらない限り、LINEの天下は続くし、Twitterも消えない。
Windowsも20年前からなくなるなくなるとギークが言い続けているが、なくならない。事務機に代替品がないからであるし、あったとしても、膨大なソフト資産があるWindowsから乗り換える意味がない。
この早期参入=不滅の権力というITプラットフォーマ―の特性こそが、Meta社を嘲笑されながらもメタバースに向かわせた要因である。
Meta社には、MicrosoftのWindowsやAppleのAPPストア、GoogleのGoogle Play、AmazonのAWSやECサイトやロジスクティクス網、GAFAMでは唯一強力なそれがないのだ。
Facebookではいかにも弱い。他に匹敵するプラットフォームがない。
だからザッカバーグはメタバースのプラットフォーマ―になるしかないと考えたのだろう。
壮大な賭けだが、MSでさえスマホ用アプリストアでは鳴かず飛ばずだ。
プラットフォーマ―は基本ひとり勝ちかせいぜい、2者くらいしか生き残らない世界だ。いまさらスマホアプリ参入はむずかしい。
クラウドもダメだ。IBMですら参入している。競合が多すぎる。
そして、大手ITベンダーがほとんど金を入れていない分野、それがメタバースだった。投資家たちは女とギャンブルにしか詳しくないアホばかりなので簡単に騙せるだろう。
ただ、メタバースが成功するかどうかは未知数だった。