IT業界の多重請負が建築土木業界に似ているというが、似て非なるものだと思う。どっちもひどい業界だとは思う。
もちろんひどいのはIT業界の方である。
というのも、建築土木の場合、「最悪人が死ぬ」ので、みずほのようなことは許されない。だから、最低限の安全にはゼネコンはくそのようにうるさい。
手抜き工事ともなれば逮捕者が出ることもあるが、ITではまずない。
たとえば、手抜き工事でトンネルが崩落すれば人が死ぬが、みずほ銀行のシステムがまともに動かなくても、ドコモ口座の不手際で数億円が失われようと、人が死なないのでIT業界の安全対策はごみのようなものだ。
最低限というものさえない。
また、工事中に作業員が死ねば、まあ労災である。
転落や圧死で言い逃れはできない。
だからゼネコンは労災にくそのようにうるさい。そして、労災が出ると現場が止まるので、金銭的にも出したくはない。
だから、残業するな! ちゃんと寝ろ! とうるさい。
しかし、IT業界で過労死しても、それは「自己責任」で、「因果見解は認められない」から、ITゼネコンはやりたい放題だ。
人材にしても、建築土木業界は、設計や積算のできる大卒が職人を使う格好で、確かに職人らしい職人はいないかもしれないが、重機の運転をゼネコン社員はできない。
また、その会社くらいしか施工できない、持っていない技術が必要な場面もあり、こうなってくると、元受けと下請けの立場は逆転する。
が、IT業界にそんなことはない。
別にずぶの素人がバグだらけのソフトを作っても人が死なないので、派遣会社は素人を派遣してくるし、スキルがないから力関係は一生ITゼネコン側だし、管理側はPGができないばかりか、別に情報工学の専門家ですらないことも多い。
建築土木の場合、常勤の現場では、元受けと下請けが仲良くなったりすることも珍しくはない。いっしょに何かを作る仲間意識があるからだ。
が、IT業界の場合、元受けはひたすら工数を増やし客から金をふんだくることしか頭にないし、下請けも、トンネルやビルのような目に見えるものがなく、ずっと画面上のコードと向き合うだけなので、達成感も一体感も、仲間意識も生まれない。
仲間意識は、現場によっては元受けも下請けも寝食を共にするケースがあるが、ITの場合、元受けはメールで連絡してくるか、WEBカメラで文句を言うだけなのだ。
・IT業界では元受けと下請けの力関係が逆転することがなく、一生奴隷である。
・IT業界では成果物が目に見えず、達成感もなく、仲間意識も生まれない。
・IT業界では、明確に死人が出ないことをいいことに安全性も品質も適当である。
・IT業界では職人というものが存在しない。
上記理由により、IT業界は建築土木業界よりも、より一層クソが極まっている。