最近、労働者の権利が強すぎて首にできないから非正規ばかりで賃金が上がらない論を多く聞く。
は? である。
どう考えても上級国民の陰謀である。
考えてもみろ。もし簡単に首にできるようにしてみろ。賃金はもっとさがるし、非正規はもっと増えるぞ。断言できる。宇宙の真理はこうであるレベルの断言である。
というのも、自民党の労組潰しは大成功で、もう労組なんて形骸化どころか存在しているかどうかもわからんレベルまで衰退している。
こんな衰退しているのは先進国では日本だけだ。そこで労働者の権利を緩和してみろ、という話だ。ありえん。後ろ盾もないのに緩和したら抵抗もできない。抵抗しようにもユニオンはほとんどゾンビか死体だ。どうにもならん。
アメリカは簡単に首にできる代わり、労組は今でも強靭だ。大規模ストもする。ここを全く触れずに議論しようとする経営者(上級国民)どもがなんと多いことか。
権利も労組もない状態で、どうやって経営者に賃上げ要求できるの? むしろ経営者側は長期雇用を条件に、どんどん賃金を絞ってくる。目に見えるようだ。
正社員で雇う必要がないなら、ぜーんぶ派遣と契約にしたいと経営者は思っているんだから、正社員は全員首で、明日から全員契約社員か派遣社員! とかやるぞ。アメリカの10倍も派遣がいるこの国で、そうならない道理がないのだ。
契約だから一年更新、査定に届かないと更新なしか次期の給与大幅減! とかやるぞ。
こうなってくると、益々衰退する。
国民が貧乏になるだけじゃなく、技術も蓄積されないから産業も衰退していく。
経営者は長期的な展望なんてどうでもよくて、自分さえ儲かればいいし、会社はつぶれても自分の資産さえ増えればいいわけ(株主を騙せればいいし、ファンドを騙して売り抜けてもいい)で、殆ど隠居みたいなベテランはリストラされていなくなるぞ。
そういうベテランは一見売り上げを生まないよう穀潰しに見えるが、技術の継承に必要だ。
うちの会社でもベテラン辞めた瞬間、結構難儀するようになって、あー、あの人のなにげない一言で今までうまくいっていたなってことがある。
いなくなってわかるんだぞ。
ベテランは些細なことに気づいたりするからな。
まあ、現場はわかっても経営者はわからんのだろうが。実際、日本の経営者は経理か人事、営業畑で現場を知らない。
でもたぶん、この労働者の権利を制限したら正社員が増えて賃金アップというもはや妄想や妄言でしかない理屈が最近よくきかれるから、上級国民たちが流布しているのだろう。
そんなはずは絶対にないのだが、労働者の権利を制限して、労働者側が得するわけがないだろう?? 簡単な話だ。
なんで、産業革命以降、労働者は労働者の権利を勝ち取ってきたんだと思う??
こういうと、いやいやそんな企業が出ても、逆に終身雇用で人材を集めようとする会社も出てくるだろう。って? ないね。ベンチャーはあるかもだが、大企業は絶対にないと断言できるね。
これも考えて見なさいよ。現在、大企業が終身雇用をやってるのは、これをやめたら他に逃げられるからであって、やりたくてやってるわけじゃない。皆が一斉に、首切り放題になったら、労働市場でも談合してくるに決まってるだろ。
皆で談合すれば、安く使えるわけで、わざわざ自分だけ高い給与を払おうなんて思う企業は出てこない。
就職したくても、どこを探しても初任給15万、ベアなし。高給なのはわけのわからんベンチャーしかない。ね?