自然派とかいうのは現代における魔術の類だ。
病は気からと言うが、プラセボの効果と言うのは実は思った以上にデカい。
気の持ちようともいうが、「手術した」と言って、ウソ手術でも何割かの人間は快方に向かう。
神仏への祈りでも、一定の効果がある。
しかしそれらはすべてプラセボ効果だ。
自然派が科学的根拠のない治療や食事で体調がよくなるのもそうだ。
かつて魔術で病が回復することは多々あったと私は思う。
近代以前の人間はそもそも魔術を信じていたので、そのプラセボ効果は絶大だったと言わざるを得ない。
実際に効果があったので、魔術は浸透し、意味のあるものとされたし、現代でも宗教的な祈祷で病がよくなる例はいくらでもある。
自然派はそういう意味で現代魔術だ。
逆に古代の段階で「真の医療」に最も近い位置にいたのは意外かもしれないが中国人だ。彼らは食医という専門医を生み出した。
食医とは早い話、いいものを食って体調をよくして病を追い出すというものだ。合理的この上ないし、医薬品も外科手術もむしろしないほうが助かるような時代において、体力を増進するというのはほとんど唯一のプラセボ(魔術)以外の対応だった。