格闘技は嫌い

 基本的に格闘技は嫌いだ。ボクシングと総合格闘技が特に嫌いだ。
なぜかって、若いころからしたい放題やってきたチンピラみたいなのが、何の制裁も受けずにお金稼いでいるなんて、気分が悪い。

 プロレス、レスリング、相撲が嫌いじゃないのは、チンピラ率の低さで、プロレスなんかブックがあるせいでマジもんの馬鹿はできないし、エンタメに特化しているせいか私生活では穏当な人が多い。後、妙にインテリ率が高い。

 レスリングも殴る蹴るといった競技ではないからか、闘争心はあってもチンピラ率が低い。柔道はチンピラ率は低いが、性根が腐っている率が高く好きではない。

 たぶん、胸ぐらをつかむというあの動作の有無がレスリングと大きく選手層を変えているのだと思う。あれは喧嘩の作法だからだ。

 相撲は知能がかなり低く、インテリはほとんどいない(外人力士はインテリが多いが)が、中学卒業から入門したりするケースが多いせいかチンピラになるまえに相撲取りになっているため、チンピラ率が低い。ただ、運営団体がチンピラすぎる。

 だからわたしは普段、相撲以外の格闘技(相撲は格闘技ではない論には与さない)はほとんど見ない。
 そもそも、理由なく他人を蹴る殴るができる時点で、チンピラの喧嘩と等価だ。え? 理由はある? 名誉とか金? 逆に、名誉や金のために他人を殴打するんなら、それはそれでやっぱりチンピラの喧嘩と同じだ。

 チンピラの喧嘩にレフェリーはいないかもしれないが、相手が死ぬまで、なんてことはほとんどないわけで、周囲が止めるんだから、本質的に格闘技とチンピラの喧嘩に差はない。だから見る気にならない。
 ああ、こいつらはこの拳で、カツアゲとかやってたんだろうな。そのカツアゲ用の拳が賞金を得る拳に変わっただけで、簡単に相手を殴るなんてやっぱクズだな、と思う。

 私は高校くらいまでなら喧嘩はした。

 ただパンピーの喧嘩ってのは、まあ、1、2発殴って終わりだ。それに、人を殴るのって、すごく精神をすり減らすから、好きではない。

 できれば、殴りたくはない。だから思い返せば、小中学校の喧嘩とか叩くとか、爪を立てるとかで、殴るってのは最終手段だったと思う。

 それくらい、殴打ってのは人倫や道徳に反するように思うし、殴った方の精神が疲弊する。
 で、それが競技とはいえ、相手を全力で殴れるなんて、どうかしている。知能が足りないか、倫理観がないか、金の亡者なのか、どれにせよ、碌なもんじゃない。

 私の後輩に、恵体のやつがいて、空手をしていたのだが、せいぜい地区大会で勝てる程度だった。

 その体格ならもっといけそうな気もしたが、本人のメンタルの問題があった。そいつは喧嘩が弱かった。学年、いや、学校で一番くらいのレベルで恵体だったにも関わらず(実際腕相撲では断トツで強かった)、チビな同級生に馬鹿にされていたのだ。

 で、恵体だったもんだから、いろんな高校から推薦の話がきた。
 全部断った。まあ、自分で知っていたわけだよ。他人を殴るのは好きじゃないってことがさ。

 空手はボクシングと違って、あてればいいポイント制だからさ(極真は違うんだっけ?)。