事実は小説より奇なりとはいうが、私はあんまり小説は読まない。
そもそも四十年も生きていると、目新しいお話にはなかなか出会えないのである。
特に歴史的人物を題材にしたものなど想像の域を出るはずもなく、時代小説は世間では人気だが、読むに堪えない。
また、小説はどうしても言語ベースなので、心情が描かれてしまう。書かなくてもいいが、それではト書きでしかない。
この点、漫画は画なので、心情を描く必要がない。そこには想像の余地がある。
だから漫画は読むが、一番読むのはノンフィクションである。
生物学や物理学、詳細な理論はわからずともそこにある概念がもう目新しい。私の想像できない世界だ。だから面白い。
そしてなにより私は歴史が大好きだが、歴史ほど面白いものはない。
なにせ、タイムマシンはないんだから、物的証拠から推測するしかない。だから新説や新発見があると定説が覆る。
例えば、恐竜の絶滅は隕石と述べた最初の学者は世紀のアホ呼ばわりだったし、人類は最初黒人だったのではないか? と推測したイギリスの医者は学会を追放された。当時これらの説はあまりにトントキだったからだ。
しかし、今では定説である。
巨大クレーターが発見され、遺伝子の追跡で黒人で間違いないことがわかったからである。
そういうわけで、生物学、物理学、歴史学の本が好きだ。